「室内で撮ると、どうしても顔がくすんで見える…」「スマホで撮っているのに、肌色だけ安っぽく見える…」──家族写真で最も多い悩みのひとつが“色のくすみ”です。実はこれ、加工アプリの問題ではなく、ほぼ確実にホワイトバランス(WB)と混在光が原因です。
特に年末の家族写真や年賀状用の写真は、夕方の部屋・電球色・蛍光灯・窓の自然光が入り混じり、スマホのオートWBが迷いやすい環境。オート任せにすると「黄色っぽい」「緑っぽい」「青白い」など、毎回色が変わります。
本記事では、自宅で誰でも再現できる「WB固定のコツ」「混在光の避け方」「3分レタッチ」の順で、家族写真を安定して“自然な肌色”に仕上げる方法をまとめました。
1. なぜ室内は「くすむ」のか?光の性質とWBの基礎
室内の光は大きく3種に分かれます。
- 電球色(オレンジ寄り)…肌が黄色く見える
- 蛍光灯(緑を含む光)…肌がくすみやすい
- 窓からの自然光(青寄り)…時間帯で色が変動
この3つが混ざると、スマホのオートWBは「すべてを平均に近づけよう」として、結果的に肌の赤みを失わせる=くすむ方向に動きます。特に夕方・暖色照明の部屋では、ほぼ確実に黄色みが強くなります。
解決策はシンプルで、光を一つに絞るか、WBを固定するだけ。これだけで失敗率は半減します。
2. 撮影前:WBを“固定”して肌色の基準を作る
スマホ撮影でも、実はWBは簡単に固定できます。固定すると毎回同じ色で撮れるため、後処理も安定します。
- スマホ(iPhone/Android):カメラアプリの色温度(WB)を「太陽光」「電球色」などに固定。
- 迷ったら「太陽光」+窓際で撮影(最も肌が整いやすい)
- 混在光回避:窓際で室内灯を消す/室内灯で撮るなら外光を遮る。
- テスト1枚:肌・白壁・服の白部分を等倍表示でチェックする。
「太陽光WB」+「窓際45°」は、プロが家庭訪問の撮影でもよく使う定番構図。簡単で再現性が高いのがメリットです。
さらに光の話を深めるなら、あなたのサイト内のこちらの記事と相性抜群です: 逆光・窓際で全員まぶしくない配置と光の当て方
3. 配置と背景:色かぶりの源を断つ
「くすみ」は光源だけでなく、背景からの反射(色かぶり)でも起こります。
- 濃いカーテン・木目の壁 → 肌が茶色っぽく転ぶ
- 青い壁・青物(ソファ) → 肌が青白く見える
- 赤・ピンクの壁 → 頬だけ必要以上に赤くなる
対策は、顔の近くに「白いもの」を置くこと。白紙・白カーテン・白いクッションなど何でもOK。レフ効果で自然に透明感が出ます。衣装は中明度(白〜グレー〜ネイビー)を選ぶと、色の転びを抑えられます。
4. 撮影後3分レタッチ:色温度→色かぶり→明るさの順で整える
写真の「肌色」は、編集でも簡単に整えられます。アプリ(iPhone標準/Lightroom/Googleフォト)なら3ステップ。
- 色温度を調整:黄色い→少し青へ/青い→黄色へ。
- 色かぶり補正:緑ならマゼンタ側へ/紫ならグリーン側へ。
- 明るさを+0.3EV:白飛びしない範囲で顔に透明感を出す。
+0.3EVは当サイトでも一貫して推奨している基本値: +0.3EVの明るさルール
5. よくある失敗パターン早見表
| 症状 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 黄ばんで見える | 電球色+WBオート | WBを「電球/太陽光」に固定して微調整 |
| 緑っぽい | 蛍光灯の緑被り | 色かぶりをマゼンタ側へ調整 |
| 色が薄い/灰色っぽい | 混在光で相殺 | 光源を一つに統一(窓際 or 室内灯) |
| 肌がのっぺり | 正面からの強い照明 | 窓に対して45°の斜光に変更 |
| 影が強すぎ | 天井照明1灯 | 顔近くに白レフを追加 |
6. 印刷で色ズレしないために:銀塩とインクの違い
撮影とレタッチで整えた肌色も、印刷方式によって仕上がりが変わります。
- 銀塩写真(ラクポ・キタムラなど) → 肌の階調が滑らかで年賀状に最適
- インクジェット(家庭プリンタ) → 暖色寄りになりやすい
- 高精細インク(挨拶状ドットコム等) → 色の再現性が高い
詳しい比較は: 銀塩と高精細インク、家族写真に向くのはどっち?
さらに、仕上がりサイズと解像度はこの早見表が便利です: 家族写真を明るく見せるサイズと解像度
7. まとめ:肌色は「光を一つ」「WB固定」で9割解決
室内で顔がくすむ原因は、ほぼ「混在光」と「WBオート」。逆に言えば、以下の3つを押さえるだけで綺麗な肌色は簡単に再現できます。
- 光源を1つにする(窓際 or 室内灯)
- WBを固定して、肌色の基準を作る
- レタッチは“色温度→色かぶり→+0.3EV”の順
年賀状に使う家族写真は、ほんの少しの手順で仕上がりが劇的に変わります。撮影→WB→光の整理だけで、プロ並みに安定した色を作れます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 室内で撮ると肌がくすむのはなぜ?
A. 主な原因は混在光です。電球色・蛍光灯・自然光が同時に入り、スマホのオートWBが迷うことで肌の赤みが相殺され、くすんだ色になります。まずは光源を一つに統一し、WBを固定するだけで大きく改善します。
Q2. スマホでもホワイトバランス(WB)を固定できますか?
A. ほとんどのスマホで可能です。標準カメラの設定で「太陽光」「電球」「蛍光灯」などに固定できます。迷ったら太陽光WB+窓際45°がもっとも自然で安定した肌色になります。
Q3. 色かぶりを直すときのコツはありますか?
A. 基本は、まず色温度(黄⇔青)を調整し、そのあとにTint(緑⇔マゼンタ)を微調整します。緑っぽければマゼンタ側へ、紫っぽければグリーン側へ動かすと、自然な肌色に戻りやすくなります。
Q4. 家族写真に向く印刷方式はどれですか?
A. 肌の階調がもっとも自然に出るのは銀塩写真です(キタムラやラクポなど)。高精細インクも色の再現性に優れています。一方、家庭用インクジェットは暖色寄りになりやすい傾向があります。
Q5. 明るさ調整は+0.3EVで本当に大丈夫?
A. はい。+0.3EVは、肌の透明感が出やすい“安全値”です。白飛びしない範囲で少しだけ明るくすることで、加工感を出さずに自然に整えることができます。


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